カッパ淵は、岩手県遠野市にあるカッパ(河童)の伝承地です。

 カッパ淵
 岩手県遠野市土淵町土淵7地割

 柳田国男の『遠野物語』にも、カッパ淵の記述があります。

 『遠野物語』は、柳田国男が明治43年(1910年)に発表した、岩手県遠野地方に伝わる逸話、伝承などの説話集です。

 川の岸の砂の上には、河童の足跡と云ふものを見ること決して珍らしからず、雨の日の翌日などは殊に此事ありと綴っています。

 近くの常堅寺の、裏手を流れる小川の淵を指しています。

 常堅寺は、延徳2(1490)年に開山した曹洞宗の由緒ある古寺です。

 境内には頭部に円形状のくぼみがあり、水が溜まるとカッパの皿のように見えることからカッパ狛犬と呼ばれます。

 その昔、寺が火事になったとき、カッパが火消しを手伝ってくれたことから祀られるようになったそうです。

 このカッパ淵には、多くのカッパが棲み、人々を驚かしいたずらをしたといわれています。

 遠野のカッパは、赤い顔で口だけが異様に大きく鳥の鳴くような声を発するという言い伝えです。

 カッパ淵の岸辺には、2体のカッパ像と乳神を祭る祠があります。

 祠には、女性が奉納した赤い布による乳房を模ったぬいぐるみが置かれています。

 カッパの神は乳の神として知られ、母親が母乳の出がよくなるよう祈願するとよいとされるからです。

 そして、カッパには遠野テレビの懸賞金がかけられています。

 カッパを捕獲して、仲良く遠野テレビに行くと、賞金は1,000万円とのことです。

 かつて日本テレビのバラエティー番組で、小烏瀬川に河童が出現と偽りの情報をマスコミに通報したことがありました。

 この一件で、遠野のカッパが広い世代にも知られるようになりました。

 なお、カッパの捕獲には、カッパ捕獲許可証が必要となっています。

 この許可証は、近くの伝承園で購入できます。
 
 伝承園は、遠野地方のかつての農家の生活様式を再現し、伝承行事、昔話、民芸品の製作・実演などが体験できる施設です。

 常堅寺のカッパ淵へは、伝承園から徒歩およそ5分ほどの距離です。

 許可証の裏面には捕獲7ヶ条があり、「頭の皿を傷つけず、皿の中の水をこぼさないで捕まえること」などの注意事項が書かれています。

 なお、現在カッパ捕獲許可証は、遠野市観光協会やふるさと納税でも入手可能です。

 伝承園から常堅寺に向かって進んでいくと、お休み処のかっぱの茶屋があります。

 茶屋の一番人気は、小豆をたっぷり使った座敷わらしソフトクリームです。

 アクセスは、JR東日本釜石線遠野駅から附馬牛線バスで足洗川下車徒歩約10分、土淵線バス伝承園前下車徒歩約5分です。

 自動車なら、釜石自動車道遠野ICから約12分です。

【ねこ旅】岩手の旅(5)遠野物語の里 カッパ淵(外部リンク)