ムカサリ絵馬は、未婚の死者を供養するために婚礼の様子を描いた絵馬です。
若松観音 若松寺
山形県天童市山元2205−1
山形県村山地方に伝わる民間信仰で、死後の世界で幸せな結婚生活を送れるようにムカサリ絵馬を寺社に奉納します。
交通事故・戦争・病気・水子等で結婚せず亡くなった子のため、親・兄弟・親戚が描き供養します。
今度は健康で長寿をまっとうできる人として生まれ変わるようにという、親の深い願いです。
ムカサリとは山形の方言で「迎えられ」ることで、結婚(式)や花嫁を意味します。
ムカサリ絵馬には、亡くなった本人と架空の相手が婚礼姿で描かれます。
若松寺は開山1300年を迎え、「めでためでたの若松さまよ」と歌われ縁結びで厚い信仰を集める寺院です。
ここには冥婚の風習の残っていて、若松観音は絵馬の宝庫といわれムカサリ絵馬が奉納されています。
ここには千数百点の絵馬が奉納されていて、中には室町後期に奉納された国指定重要文化財もあります。
観音堂が重要文化財に指定されるまでは、御堂の四面に重なるように掛けられていました。
その後、元三大師堂下に安置して、1988年に絵馬堂を建立して絵馬を修復し整理しました。
近年では、供養中の絵馬は本坊(祈祷所)に安置しています。
絵馬はむかし地元のムカサリ絵馬師が描くことが多かったですが、現在では写真が主流になっています。
絵柄は、伝統的な和装の婚礼、洋装の結婚式、記念写真風ツーショット、合成写真などなど、様々なスタイルです。
ムカサリ絵馬師は、絵が苦手な遺族の代わりに亡くなった本人の魂に語りかけ、姿を思い描いて絵を描きます。
結婚相手に生きている実在の人物を描くと、その人が死者に連れて行かれてしまうという禁忌があります。
このため、怪談や都市伝説として語られることもありますが、本来は遺族の温かい思いが込められた風習です。
ムカサリ絵馬を所持している施設は、若松寺のほかにも立石寺などいくつかあります。
冥婚とは、生者と死者、または死者同士で行われる結婚のことです。
陰婚、鬼婚、幽婚、死後婚、死霊結婚などとも呼ばれます。
絵馬は、念願や報謝のために神仏に奉納してきました。
もともと生きた馬を奉納する代用として、馬の絵以外の絵入りの額や板絵と絵馬と呼ぶようになったようです。
若松寺へのアクセスは、JR東日本奥羽本線天童駅からタクシーで約15分です。
自動車なら、山形道山形北ICから国道13号を経由して約20分です。
ムカサリ絵馬の謎:死後の結婚式が語るもの