ニラ
ニラ(韮・韭)は、ヒガンバナ科ネギ属に属する多年草です。
東アジア原産で、中国では紀元前から栽培されていたといわれています。
欧米ではほとんど栽培されていませんが、東洋を代表する野菜として知られています。
日本には弥生時代に伝わったと考えられ、『古事記』や『万葉集』にも記載があります。
『古事記』では、加美良(かみら)や臭韮(かみら)、『万葉集』では、久久美良(くくみら)と呼ばれています。
現在のニラという名は、これらの「みら」が変化したものといわれています。
北海道から沖縄まで、全国的に栽培されています。
主な生産地は高知県と栃木県で、日本で出回る約4割がここで栽培されています。
ニラは年間を通して店頭に並びますが、栽培時期によって11月~3月収穫の冬ニラと、4月~10月収穫の夏ニラ分けられます。
ニラには、葉ニラ、黄ニラ、花ニラの3種類があります。
一般的なものは緑色の葉ニラで、その色から青ニラとも呼ばれています。
葉の幅が広くて色が濃く柔らかいグリーンベルトは、年間を通して栽培されています。
葉ニラの旬は冬から秋にかけてで、肉厚で柔らかいものが収穫できます。
黄ニラは品種は葉ニラと同じですが、光を当てずに育てる軟化栽培で育てられます。
栽培方法がもやしと類似していることから、にらもやしとも呼ばれます。
香りは淡くほのかな甘みを持ち、炒めものに最適で中華料理によく使われます。
また、台湾から導入されたテンダーポールが、花ニラとして栽培されています。
テンダーポールは晩春から秋口が旬で、5月~10月にかけて次々に花のつく茎を伸ばします。
花のつぼみと若い茎を食用とし、シャリッとした独特の歯ごたえが特徴です。
葉ニラに比べて、においも少なく甘みがあります。
なお、この花ニラとハナニラ(花韮)は、分類的にまったく違う植物です。
ハナニラは、ヒガンバナ科ネギ亜科ハナニラ属に属する多年草です。
野菜として栽培されたのは明治時代からで、戦後に中華料理が普及し一般的に利用されるようになりました。
ニラの持つ独特のにおいは、アリシンという香り成分で、強い殺菌作用があります。
また、アリシンはビタミンB1の吸収を高め、疲労回復に効果を発揮し、血栓予防や食欲増進に有用です。
このいため、ビタミンB群の豊富な豚肉やレバーなどとの相性は抜群です。
ニラにはβ-カロテンが多く含まれ、体内でビタミンAに変換されて粘膜を保護してくれます。
他にも、ビタミン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、セレン、食物繊維、クロロフィルを豊富に含んでいます。
ニラは食用だけでなく、薬として利用されていたとの記録も残っています。
生育適温は20℃ですが、暑さにも強く春から夏にかけて生育します。
強い生命力を持ち、ひとつの株から年に3~4回収穫することができます。
年に数回は収穫できますが、植えつけ初年度は株が若いので多くは収穫できません。
本格的な収穫は、2年目以降になります。
花言葉は、「多幸」「星への願い」などです。
「多幸」は、たくさん集まって咲く星形の花から連想してつけられたようです。
「星への願い」は、3枚の花弁と3枚の萼があり、花弁が6枚あるように見える星形の花につけられています。

科・属 ヒガンバナ科ネギ属
学名 Allium tuberosum
英名 Gynmigit、Nira
Chinese chive
和名 ニラ、韮、韭
別名 フタモジ、二文字、
ミラ、コミラ、
原産地 東アジア
花期 11月~3月冬ニラ
4月~10月夏ニラ