エゾミソハギ(蝦夷禊萩)は、ミソハギ科ミソハギ属の多年草です。
日本では北海道から九州まで、ほかに朝鮮半島に分布しています。
この花は、古代から多くの詩人や画家にインスピレーションを提供してきました。
特に、夏の季節を象徴する花の一つとして、風景画や和歌に登場することが多いです。
広い分布域をもっていますが、近畿では自生地が非常に限られ、現状では絶滅のおそれが高いとされます。
丹後地域では海岸の岩場に生育していますが、海岸開発、湿地開発、土地造成などが減少の主な要因です。
湿原や海岸の水湿地に群生し、全体に突起状の毛を生じます。
根茎は横に伸び、茎は直立し毛の多い少ないには変化があります。
上部は枝を伸ばし、高さは50〜150cmくらいです。
葉は柄がなく、対生するか3個輪生します。
花期は7~8月で、花は細長い茎の先端に紫がかったピンクです。
花序は穂状で頂生し、多くの花を付けます。
花弁は6個で紅紫色、雄しべは12個で2輪になり交互に長短があります。
エゾミソハギのほかに田の畦などに自生しているのは、この仲間のミソハギです。
ミソハギは花茎やガクが無毛ですが、エゾミソハギは一面に白い毛が生えています。
両者は、民家の庭先にもよく植えられています。
花期は7~8月で、古くからお盆の供花として用いられてきました。
盆花として水田の隅などに栽培され、ボンバナとか精霊花などとも呼ばれます。
若菜はゆでて食用とし、シベリアでは茎葉をサラダや茶の代用とするといます。
花期が終わったころの全草を日干したものが生薬名の千屈菜です。
成分は配糖体のサリカリンのほかに、アルカロイドのリスラニンやタンニンなどか含まれます。
止瀉、解熱、止血などの作用があり、下痢、赤痢などのほかの用途は、腸炎、膀胱炎などです。
また、皮膚の潰瘍には葉をすりつぶして外用します。
花言葉は、「忍耐」「不屈の精神」などです。
「忍耐」「不屈の精神」は、エゾミソハギが厳しい環境にも屈せず美しく咲き誇ることからきています。
科・属 ミソハギ科ミソハギ属
学名 Lythrum salicaria L.
英名 purple loosestrife
和名 エゾミソハギ、
蝦夷禊萩
別名 ショウリョウバナ、
ミゾハギ、ミズバナ、
ボンハギ
原産地 日本、ユーラシア大陸、
アフリカ北部
花期 7~8月