サフランモドキ(洎夫藍擬き)は中央アメリカを原産のヒガンバナ科タマスダレ属の多年草です。
漢字の「擬き」は、似て非なるものを意味します。
別名として、レインリリー、ゼフィランサス・ピンクなどとも呼ばれます。
日本には江戸時代の1845年頃に渡来しましたが、当初はサフランと間違えられていました。
当時の人は、薬用のサフランと思ってサフランと名付けたのだそうです。
同年頃に持ち込まれたパイナップルの、栽培土に混入していたとのことです。
明治時代に入ってからサフランと違うことが分かって、現在のサフランモドキという名前になりました。
花を観賞するために栽培されていますが、日本では暖地で野生化している地域もあります。
サフランはアヤメ科クロッカス属の多年草で、秋に美しい花を咲かせます。
地中海沿岸が原産地とされ、古くから薬用、香辛料、染料として世界中で親しまれてきました。
両者は、色、属、開花時期に違いがあります。
サフランは秋に紫色の花を開きますが、サフランモドキは6月から10月に開花しピンク色です。
サフランモドキの明るい色合いと育てやすさから、世界中の庭園や公園でも頻繁に見られるようになりました。
ユリのような大きく開いたラッパ型の花びらで、鮮やかなピンク色です。
日本でも広く親しまれていて、可憐な花は昔から人々の心を捉えています。
地下に卵形の球根を持ち、径は1〜2.5cmほどになります。
時に3cmにもなることもあり、この属としては大きい方です。
葉は平たい線形で、長さ15〜30cm、幅7mm程度で緑色です。
基部は紅茶色を帯びて、桃色の花を上向きに咲かせます。
花弁は6裂し、花の色は濃い桃色から薄い桃色までさまざまです。
おしべは6本で黄色の細長い葯を持ち、葯は花糸に対してT字型に接続して揺れます。
めしべは真っ白の一本で、柱頭は3裂ですが4裂のものもあります。
丈夫なため道端などでもよく見かけ、開花時期は6月から10月です。
食すると、摂取量にもよりますが腹痛や吐き気、下痢、痙攣などの食中毒を引き起こす可能性があります。
身体の小さな子どもが、誤って摂取しないように注意が必要です。
花言葉は、「純潔」「期待」「喜び」「便りがある」などです。
いずれも、雨上がりに美しく咲き、季節の変わり目に明るい彩りを添えることからきています。
「純潔」は、雨の後に清らかに咲く花姿からの想像です。
「期待」は、次々と花を咲かせる生命力に由来します。
「喜び」は、鮮やかな色合いがもたらす明るい雰囲気からきています。
「便りがある」は、突然花が咲き始める様子は、うれしい知らせの例えです。
科・属 ヒガンバナ科タマスダレ属
学名 Zephyranthes candida
英名 rozepink zephyrilly、
rain lily
和名 サフランモドキ、
洎夫藍擬き
別名 タマスダレ、レイン・リリー
原産地 中央アメリカ
花期 6月~10月