旅のあれこれ

タチツボスミレ

 タチツボスミレ(立坪菫)は、スミレ科スミレ属の多年草です。
 日本全土の、平地から低山に分布し、道端、草原、森林、やぶなどで見られます。
 家庭の花壇でもよく植えられているパンジーやビオラも、このスミレの仲間です。
 わが国には、約50種のスミレが自生しています。
 これだけ多くのスミレが見られる国は、世界的に稀だそうです。
 花は典型的なスミレの花の形ですが、スミレより丸っこく花色は薄紫色の花弁に濃紫色の筋が入っています。
 和名の由来は、立つ茎をもち庭(坪)に咲くスミレという意味です。
 スミレというのは、花の後ろにある距に花蜜を貯めるのが、大工道具の墨入れに似ていからです。
 距(きょ)とはニワトリのけづめのことで、花の後ろに突き出した中空の角状のものをいいます。
 別名、ヤブスミレともいい、日本でごく身近に見られるスミレ類の一つです。
 数本から10本程度の茎を伸ばして咲き、花姿は根元から直接出ているように見えます。
 丸い葉と立ち上がる茎が特徴で、茎はしだいに長く伸びて最大で高さ20cm前後です。
 種のスミレは地上に茎を立てませんが、タチツボスミレは季節が進むつれ茎を伸ばしていきます。
 茎は始め斜めに出て、それから立ち上がり、その茎の節々からも葉や花が出るのです。
 葉は質が薄くハート形で、花は葉のつけ根に直径1~2cmの薄紫色のものが1輪ずつつきます。
 いわゆる菫(すみれ)色をしたスミレもよく見かけますが、タチツボスミレは一層身近です。
 可憐な花を咲かせて、春を告げてくれます。
 分布が海岸沿いから亜高山まで幅広く、個体による色彩の変化が多いです。
 淡い青紫から濃い紅紫のものなど、さまざまです。
 また、花色に変化が多く、白、薄いピンク、白い花で距だけ紫のものなどがあります。
 花期が終わると、葉の間から茎が伸び始めます。
 茎は年を越さず、次の春にはまた地下茎から出発します。
 古くから、主に民間療法で薬草として使用されてきました。
 漢方で、つぼみの頃に刈り取った地上部を乾燥させたものを白屈菜といいます。
 いぼ取りや、水虫、いんきんたむしといった皮膚疾患、外傷の手当てに使用されました。
 花言葉は、「つつましい幸福」「小さな幸せ」「思慮」「奥ゆかしい」などです。
 「つつましい幸福」「小さな幸せ」は、派手さはないものの淡い紫色の小さな花が林の足もと一面に広がる姿から来ています。
 野の花なので大げさではないけれど、静かに心を満たしてくれる幸せというイメージです。
 「思慮」「奥ゆかしい」は、スミレ全体の花言葉ですが、タチツボスミレのイメージにも重ねられます。
 万葉集の頃から和歌に多く詠まれ、控えめで思慮深く奥ゆかしいというイメージを持たれてきました。

科・属  スミレ科スミレ属
学名   Viola grypoceras
英名   Viola、Violet
和名   タチツボスミレ、立坪菫
別名   ヤブスミレ、
     ミツバタチツボスミレ
原産地  日本、東アジア温帯域
花期   3月〜5月
    (4月〜6月の地域あり)

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